Written by TOE
はじめての越境EC(ベトナム編)
はじめに
近年、越境EC市場は急速に拡大しており、日本国内だけでなく海外市場に目を向ける企業が増えています。特に東南アジアの中でもベトナムは、インターネットとモバイルの普及率が高く、オンラインショッピングが急成長している市場の一つです。そんな成長著しいベトナム市場に向けた越境ECの運営は、多くのビジネスチャンスを提供しますが、同時に文化や法規制、物流など独自の課題も抱えています。本記事では、ベトナム市場向けに越境ECを始める際のポイントを8つのステップに分けて解説します。
1. ベトナム市場の魅力
ベトナムは、人口約1億人を抱える大国で、特に若年層が多いことが特徴です。また、モバイル端末の普及率が高く、消費者の大部分がスマートフォンを通じてオンラインショッピングを楽しんでいます。加えて、経済成長が続いているため、購買力も向上しており、日本製品や高品質な商品に対する関心が高まっています。
特に、美容・健康関連商品やファッション、家電製品などが人気であり、日本製品に対する信頼感も強いです。越境ECを通じて、ベトナム市場に商品を提供することで、新たなビジネスチャンスを見つけることができます。
2. プラットフォーム選び
ベトナム市場向けの越境ECを運営する際には、どのプラットフォームを選ぶかが重要です。ローカルプラットフォームとしては「Lazada」や「Shopee」が広く利用されており、これらのプラットフォームは信頼性が高く、現地の消費者に人気があります。また、これらのプラットフォームは多言語対応や現地決済システムを備えているため、スムーズな取引が可能です。
自社ECサイトを立ち上げることも一つの手段ですが、現地の消費者にリーチするには、まずは既存のプラットフォームを活用することが効率的です。初めて越境ECを始める場合は、物流やマーケティングの面でもサポートが充実しているプラットフォームを選ぶことで、運営のハードルを下げることができます。
3. 支払い手段の整備
ベトナムでは、依然として現金払いが主流ですが、最近ではクレジットカードや電子ウォレット(MoMo、ZaloPayなど)の利用も増加しています。特に若年層の間では、電子決済の利用が急速に拡大しており、これらの支払い手段を導入することで、顧客の利便性を高めることができます。
越境ECでは、ベトナムの消費者が安心して購入できるよう、現地の主流決済手段をサポートすることが不可欠です。また、多通貨決済や現地通貨での支払いオプションを提供することで、購入のハードルを下げ、売上を拡大することが可能です。
4. 商品ページのローカライズ
ベトナム市場向けの越境ECでは、商品ページのローカライズが成功の鍵を握ります。単にベトナム語に翻訳するだけでなく、現地の消費者のニーズに合ったコンテンツを作成することが重要です。例えば、日本では「高品質」「安全性」を強調することが有効ですが、ベトナムでは「コストパフォーマンス」や「実用性」が購買動機になることが多いです。
また、文化的な要素も考慮して、消費者にとって魅力的な商品説明や画像を使用することが大切です。現地の文化やトレンドに配慮し、ベトナムの消費者が共感できる表現を使うことで、購入意欲を高めることができます。
5. 物流と配送の最適化
ベトナムへの越境ECでは、物流と配送が大きな課題となります。国内取引とは異なり、国際輸送では配送時間やコストが大きな問題となるため、効率的な物流戦略が必要です。特に、配送が遅れると顧客満足度が低下し、リピーターを失うリスクが高まります。
ベトナム向けの配送サービスを提供する信頼性の高い国際物流業者を選定し、最適な配送ルートを確保することが重要です。また、関税や税金に関する情報を事前に把握し、顧客に対して明確に提示することで、トラブルを防ぐことができます。
6. カスタマーサポートの充実
ベトナムの消費者に向けたカスタマーサポートも重要な要素です。特に、現地の言語で迅速に対応できる体制を整えることが、顧客満足度を高めるために不可欠です。多言語対応のチャットボットや、現地に拠点を持つパートナーと提携してカスタマーサポートを提供する方法もあります。
また、ベトナムではSNSを通じたカスタマーサポートが一般的です。FacebookやZaloといった現地で人気のSNSプラットフォームを活用し、顧客とのコミュニケーションを強化することが、信頼関係を築くための有効な手段となります。
7. 法規制と税制の確認
越境ECを行う際には、ベトナムの法規制や税制をしっかりと理解することが重要です。特に、商品輸出に関する規制や関税、消費税(VAT)について事前に調査し、適切な手続きを踏む必要があります。違反すると罰金や商品の没収といったリスクがあるため、専門家に相談することをお勧めします。
また、商品によっては輸入禁止や制限がかかる場合もあるため、取り扱う商品が現地の法規制に抵触しないかを確認することが不可欠です。特に、医薬品や食品、美容関連商品には厳しい規制が存在するため、販売前に十分な調査を行いましょう。
8. マーケティングとブランディング
ベトナム市場で成功するためには、現地の消費者に合ったマーケティング戦略とブランディングが必要です。特にSNSマーケティングが効果的で、FacebookやInstagram、Zaloといったプラットフォームを活用することで、現地の消費者にリーチすることが可能です。
また、ベトナムではインフルエンサーマーケティングも非常に効果的です。人気のあるインフルエンサーを活用することで、商品の信頼性や認知度を高め、現地の消費者に強く訴求することができます。さらに、日本製品の信頼感を前面に押し出し、高品質なブランドイメージを築くことが、長期的な成功につながるでしょう。
おわりに
ベトナム市場向けの越境ECは、成長著しい市場への参入のチャンスであり、適切な戦略を立てれば大きな成功を収めることができます。市場調査やローカライズ、物流、カスタマーサポート、マーケティングといった各要素をしっかりと押さえ、ベトナムの消費者に魅力的な商品を提供することで、越境ECを効果的に展開していきましょう。この記事で紹介した8つのポイントを参考に、ベトナム市場への第一歩を踏み出してみてください。