Written by TOE
はじめての越境EC(海外向け通販サイトの運営を、半ば強制的に担当にさせられた人必見!)
はじめに
「越境EC」という言葉を聞いたことがあるものの、具体的な運営方法が分からず、半ば強制的に担当に任命されてしまった方も少なくないのではないでしょうか。越境ECとは、国内ではなく海外の消費者に向けて商品を販売する通販サイトの運営を指します。国内市場だけではなく、グローバルな顧客にアプローチすることでビジネスの拡大を図るチャンスですが、同時に新しい課題やハードルも伴います。この記事では、初めて越境ECを担当する方でも理解しやすい、運営の基本と成功のためのポイントを8つのステップに分けて解説します。
1.市場調査とターゲット設定
越境ECを成功させるための第一歩は、ターゲットとする国や地域の市場を調査することです。越境ECでは、ただ海外に向けて商品を販売すれば良いわけではなく、その地域でどのような商品が需要があるのか、競合はどのような状況なのかを把握することが必要です。
まず、どの国や地域に販売するかを決め、その市場の文化、消費者の嗜好、購買行動を調査します。また、法律や税制、輸出入に関する規制も事前に確認しておく必要があります。例えば、アジアではスキンケア商品が人気ですが、欧米ではオーガニック商品が好まれることが多いといった具合に、ターゲット市場ごとにアプローチを変える必要があります。
2.プラットフォーム選び
越境ECの運営では、どのプラットフォームを使用するかが成功の鍵を握ります。自社サイトをゼロから立ち上げる方法もありますが、多くの企業は既存の越境ECプラットフォームを利用しています。これにより、インフラ構築の手間が省け、早期に市場に参入できます。
例えば、Amazon、eBay、Shopify、AliExpressなどのプラットフォームは、それぞれの国や地域で強い影響力を持っており、アクセスや信頼性が高いのが特徴です。それぞれのプラットフォームが提供するサービスや手数料、配送ネットワークのサポート範囲などを比較し、自社に最適なプラットフォームを選ぶことが大切です。
3.支払い手段の整備
越境ECでは、顧客が利用できる支払い方法を幅広く揃えることが重要です。クレジットカードやデビットカードだけでなく、PayPal、Alipay、Apple Pay、WeChat Payなど、国や地域ごとに普及している決済方法を導入することで、購入のハードルを下げることができます。
また、海外取引には為替レートや手数料も考慮する必要があります。顧客が現地通貨で支払いを行えるようにするため、プラットフォームや決済代行業者が提供する多通貨対応システムの導入も検討すべきです。これにより、顧客にとって安心して取引できる環境を提供することが可能になります。
4.商品のローカライズと翻訳
越境ECの運営において、商品ページやサイト全体の「ローカライズ」が成功の鍵です。単に言語を翻訳するだけでなく、その国や地域の文化や価値観に合ったコンテンツを提供することが重要です。例えば、日本国内で「お得感」を強調する表現が好まれる一方、海外市場では品質や環境に配慮した説明がより効果的な場合があります。
翻訳の精度も重要で、直訳ではなく、その国の消費者に響く言い回しを取り入れることで、信頼感を高めることができます。プロの翻訳サービスを利用したり、現地に精通したスタッフを採用することも効果的です。
5.配送と物流の整備
越境ECの最大の課題の一つが、配送と物流の管理です。海外への配送には、輸送コスト、配送時間、関税や税金など、多くの要素が絡んでくるため、慎重な計画が必要です。消費者にとっては、送料が高い、配送が遅いといったネガティブな経験は購買意欲を大きく損なう要因となります。
そのため、国際的な配送ネットワークを持つ物流業者を選定し、送料や配送期間を明確に提示することが重要です。また、商品の梱包においても、長距離輸送に耐えうる頑丈な包装を施すことで、商品の破損を防ぎ、顧客満足度を高めることができます。
6.カスタマーサポート
海外の顧客に対するカスタマーサポートは、越境ECの成功を左右する重要な要素です。言語の壁や時差の問題がある中で、どのように顧客対応を行うかがポイントとなります。問い合わせやトラブルが発生した場合、迅速かつ適切に対応することが顧客満足度を高め、リピーターの獲得につながります。
そのためには、現地の言語でのカスタマーサポート体制を整えることが理想です。自動翻訳ツールを使ったサポートや、現地に拠点を持つパートナー企業と提携してサポート体制を強化することも検討しましょう。
7.法規制と税制の理解
越境ECでは、販売先の国や地域によって異なる法規制や税制に従う必要があります。特に、商品の輸出入に関わる関税や付加価値税(VAT)の処理は複雑で、適切に対応しないとトラブルの原因となります。法律に従わないと、罰金や商品が差し押さえられるリスクもあります。
そのため、事前に販売先の国の規制を確認し、適切な対応を行うことが重要です。専門家やコンサルタントに相談することで、法的なリスクを最小限に抑えることができます。
8.マーケティングとブランディング
最後に、越境ECを成功させるためには、ターゲット市場に合わせた効果的なマーケティングとブランディングが欠かせません。SNSやGoogle広告、インフルエンサーマーケティングなど、現地で効果的なマーケティング手法を活用することで、認知度を高め、集客力を強化します。
また、国ごとの消費者心理や文化に合わせたブランディング戦略を立てることが重要です。例えば、海外では「メイド・イン・ジャパン」が高品質の象徴として認識されているため、日本製品を強調することで信頼感を得ることができます。
おわりに
越境ECの運営は、初めての方にとっては大きな挑戦かもしれません。しかし、適切な市場調査、プラットフォーム選び、物流やサポート体制の整備を行うことで、成功への道が開かれます。この記事で紹介した8つのポイントを参考に、海外市場に挑戦し、グローバルなビジネスの成長を目指しましょう。