Z世代は「失敗したくない」? | 福岡のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社TOE Z研究ラボ - トエラボ
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「失敗したくない」「間違えたくない」——
そんな気持ちを抱える若者が増えています。 SNSやメディアでは「Z世代は打たれ弱い」「挑戦しない」といったイメージが語られますが、果たしてそうでしょうか。 Z世代は、SNSや成果主義の社会で育ち、“間違えないこと”が無意識の生存戦略になっています。 彼らの慎重さは、単なる“性格の傾向”ではなく、時代構造が生み出した自然な反応とも言えます。
今回は、Z世代が“失敗したくない”と感じる背景を、ネガティブ・ケイパビリティ(不確実さに耐える力)の観点から考えてみます。

※本記事では、Z世代は〜などと書いていますが、Z世代に限る話ではないことは大前提です!

ネガティブ・ケイパビリティとは

ネガティブ・ケイパビリティ(Negative Capability)は、詩人ジョン・キーツが提唱した言葉で、「すぐに答えが出ない曖昧な状況の中に、とどまり続けられる力」を指します。例えば、以下のような力のこと。

・不確実な状況をすぐに判断・結論づけない
・“わからない”ままに観察し続ける
・曖昧さを受け入れながら創造的に考える

現代社会では、効率や成果が重視されるあまり、この“曖昧さに耐える力”が育ちにくくなっていると言われます。 Z世代の“失敗したくない心理”は、まさにこの能力が発揮しづらい環境の中で形成されていると考えられます。

引用:https://career-research.mynavi.jp/report/20240930_86724/

SNSの加速が「曖昧さ」を奪う

若者の間では、完璧主義傾向や挑戦回避の心理の傾向が広がっています。もちろん、どの時代でも若者は経験が少なく慎重な面があります。しかし、Z世代が置かれた環境は、その慎重さを加速させる社会構造になっているように思います。 その背景には、次のような環境要因にあると考えます。

○SNSによる“比べずにいられない時代”
Z世代は、SNSとともに成長した世代です。Instagram、TikTok、X(旧Twitter)などで、同世代の成功・努力・評価が常に可視化されています。

旧世代にとって「他人と比べる」とは、学校や職場など、限られた範囲の出来事でした。しかし今の若者は、世界中の同世代とリアルタイムに比較され続ける環境で育っているため、そのスピードの中で、「迷っている時間」「考えあぐねている状態」は、「自分だけが遅れている」と感じやすくなります。結果として、彼らは曖昧さに耐える余裕を失い、すぐに“正解”を探そうとする思考習慣を身につけているのかもしれません。

また、Z世代は「選べる時代」を生きています。一見、自由で恵まれた環境のように思えますが、選択肢が増えるほど、「間違えたくない」プレッシャーも増します。レビューや他人の評価を事前に確認し、失敗の可能性をできるだけ排除しようとするのは、情報過多の社会を生き抜くための合理的な戦略ともいえます。 しかしその反面、「(すぐに正解が分かる=)曖昧なまま進む経験」が極端に減ってしまいました。これでは正解を選ぶ力は磨かれても、正解がない中で考える力は育ちにくいですよね。

どうすれば“曖昧さに耐える力“が育つのか?

①「間違えてもOKな環境」をつくる
経験が少ない故にうまくやろうとしているだけ。Z世代に限った話ではなく、経験が少ないから挑戦を恐れるのは誰でも同じだと思います。だからこそ、失敗しても立て直せる・考え直せる場を設計することが大切です。
✅ 完璧に仕上がっていないアイデアを共有してもOKな会議
✅ 挑戦を評価してもらえる環境
✅ 先輩が自らミスを話すことで心理的安全性をつくる

②「わからない」を言える空気を育てる
「考えがまとまってないけど話してみたい」そんな発言が歓迎されるチームをつくる。上司や先輩が「これ難しいね」「一緒に考えよう」と言うだけで、若手は安心して意見を出せるようになります。

③「正解」より「意味」を共有する
目的が共有されていれば、多少の失敗は学びになります。 「なぜこれをやるのか」を丁寧に伝えることで、Z世代は“受け身”から“一緒に考える側”へと変わります。

まとめ

  • “正解”より、“プロセスを共に考える”
    分からないものって怖いですよね。失敗を恐れず挑戦したい気持ちとは裏腹に、不確実さの中で生き抜くために自衛してしまうこともあります。そういう若者を「慎重すぎる」と片づけるのではなく、“なぜ失敗しても大丈夫なのか”を共に示すことが重要です。その一歩を添えるだけで、若手は安心して挑戦へ踏み出していくはずです。ネガティブ・ケイパビリティは、コスパタイパ主義と呼ばれている今、必要な概念なのだと思います。

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