「FOMO」をハックする:Z世代に選ばれるブランドに | 福岡のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社TOE Z研究ラボ - トエラボ
Image

多くのマーケティングレポートにおいて、Z世代は「ブランドロイヤルティが低い」「トレンドに流されやすい」「感情で購買する世代」として語られることが多い。その背景として、しばしば指摘されるのがFOMO(Fear of Missing Out/取り残されることへの恐怖)である。確かに、Z世代の消費行動はFOMOによって強く駆動されている。しかし、FOMOを刺激することで「売る」ことにだけ焦点を当ててしまうと、企業は「すぐ話題になるが、すぐ忘れられる」という短命な循環に陥りやすい。
問題はFOMOそのものではない。Z世代のFOMOを、企業側が従来型の発想で理解してしまっている点にある。

Z世代のFOMOは「買い逃す恐怖」では終わらない

これまでの世代にとってFOMOとは、期間限定のセールや数量限定商品を「買い逃してしまうこと」への不安を指すケースが多かった。一方、SNSとともに成長してきたZ世代にとってのFOMOは、より社会的で、自己認識と深く結びついた感情へと変化している。
彼らが恐れているのは、単に商品を逃すことではない。
✅ いま多くの人が共有している体験を逃すこと
✅ 集団的なストーリーの外側に置かれてしまうこと
✅ 「今この瞬間にふさわしい自分」になれないこと
そのため、Z世代のFOMOを強く刺激するのは「残り24時間」や「数量限定」といった訴求ではなく、「今ここに参加しなければ、この会話やこの界隈に属せなくなる」という感覚である。日本市場でポップアップストアや期間限定のコンセプトカフェがSNS上で急速に拡散されるのも、商品そのものより「その場にいた自分」を証明する価値が重視されているからだ。

なぜZ世代は「すぐ買う」のに「すぐ離れる」のか

Z世代は、FOMOを喚起する刺激への反応が非常に速い。洗練されたビジュアル、急上昇中のトレンド、コミュニティからの誘いに、ほとんど迷いなく行動する。しかしその一方で、購入後にブランドとの関係を長く続けないという特徴も持っている。
その理由はシンプルだ。
FOMOは、ブランドとの関係に「入るきっかけ」にはなるが、関係を維持する動機にはなりにくい。商品やブランドが、
🙅‍♀️ 個人の価値観を反映していない
🙅‍♀️ 事前に提示されたイメージと一貫性がない
🙅‍♀️ トレンド消費だけを目的としている
と感じられた瞬間、Z世代は驚くほどあっさりと離れていく。そこに強い後悔や未練はほとんど残らない。

Z世代に効くFOMOは「割引」ではなく「意味」のFOMO

多くのマーケティング施策では、FOMOを生み出す手段として数量限定やカウントダウン、「今買わなければ損をする」といった構図が用いられてきた。こうした手法は一定の即効性を持つものの、その効果は短期的にとどまりやすい。
一方で、Z世代との関係を比較的長く築けているブランドは、別のタイプのFOMOを設計している。
✅ 特定の界隈やコミュニティに属していることへのFOMO
✅ 今この瞬間にしか得られない体験へのFOMO
✅ なりたい自分像を逃したくないというFOMO
言い換えれば、Z世代が恐れているのは商品を逃すことではなく、本来なら自分も参加できたはずの物語から外れてしまうことなのだ。日本市場において、広いトレンドよりも特定の界隈での深い共感が消費を動かしている背景にも、この構造がある。

企業はZ世代のFOMOとどう向き合うべきか

「どうすれば、もっと強いFOMOを刺激できるか」という問いは、もはや本質的ではない。企業が向き合うべき問いは、むしろ次の点にある。
💁‍♀️ このFOMOは、購入後にZ世代をどこへ導くのか
💁‍♀️ 一時的な高揚感のあとも、関係を続けたいと思える設計になっているか
💁‍♀️ トレンドが過ぎ去ったあと、なお選ばれる理由は何か
仮にトレンドが消えたとしても、それでもなお選ばれ続ける理由を提示できるかどうかが問われている。FOMOは決してゴールではなく、ブランドとの関係性に入るための入口にすぎない。その入口の先にどのような体験や文脈を用意できるかによって、Z世代にとって「一度きりの消費」で終わるか、「選び続けるブランド」になるかが分かれていく。

まとめ

  • 消費行動をFOMOだけで説明し、「煽れば売れる」と捉える発想は、もはや限界に来ている。Z世代にとってFOMOとは、商品を逃す不安ではなく、体験や文脈、界隈から取り残されることへの社会的な不安である。だからこそ、FOMOは購入のきっかけにはなっても、関係を維持する力にはなりにくい。
    Z世代に選ばれ続けるためには、瞬間的な話題性ではなく、「参加してよかった」「ここに属していたい」と思える意味と居場所を設計できるかが問われる。FOMOはゴールではなく、ブランドとの関係が始まる入口にすぎない。その先にどんな体験と価値を用意できるかが、短命な消費と継続的な支持を分ける決定的な差となる。

New Column

MORE