2022年5月6日 | TOE
デザイン文字の代表的なパターンと作成時の注意点を徹底解説

文字をデザインするときに、色や大きさだけでなく様々な手法でデザインを取り入れることがあります。デザイン文字は奥が深く、デザイナーとしても腕の見せ所と言えます。この記事では、デザイン文字の種類の一覧と、デザイン文字を作るときの注意点まで詳しく解説します
デザイン文字とは?

デザイン文字とは、文字のフォントや色に加えて様々な装飾が施されている文字のことです。文字を装飾すると言っても、本当にさまざまな手法があります。デザイナーとしては、デザイン文字の装飾は腕の見せ所ですが、やりすぎるのは禁物です。デザイン本来の目的を考えながら、それにふさわしいデザイン文字を作り上げることを心掛けましょう。またデザイン文字の元になる、フォント本来の持ち味を活かすと、効率的にデザイン文字の制作ができます。
デザイン文字の種類

デザイン文字と言っても、表現の方法はさまざまです。ここでは代表的なデザイン文字として12種類のテクニックをご紹介します。
文字ごとに色を変える
複数の文字から構成されている文字列において、1文字ごとに色を変えると、ポップな感じのデザイン文字に仕上がります。このときに重要なのが、どのような色を選択するかです。
例えば、補色を組み合わせて使うと、文字ごとに強弱がつきますし、同系色の色を使い、文字ごとに明度や彩度を変えると、全体としてまとまりのあるイメージになるでしょう。
文字の一部の色を変える
文字を構成している一部分だけ色を変えるデザイン文字もあります。例えば「はらい」の部分や「はね」の部分などです。特にゴシック体のように、文字の線の太さが同じフォントで効果的なデザイン文字です。
文字の色を変える場所は1~3か所程度にしておきましょう。ベースとなる色に、アクセントとなる色を使って、色を変えることで、ちょっと目を引くデザイン文字に仕上がります。
マドの中に色を塗る
文字のマドの中に色を塗るデザイン文字もあります。マドとは文字の中に出来る隙間のことです。特に複雑な形状をしている漢字では、マドが生まれやすいので、このデザイン文字による装飾が効果的です。
マドを単色で塗りつぶすだけでなく、模様の入ったデザインで塗りつぶしたり、マドと別の場所にあるマドとで、塗りつぶす色を変化させたりすると、ポップな感じのデザイン文字になるでしょう。
輪郭線をつける
文字に輪郭線をつけるのもデザイン文字の王道です。この輪郭線のついた文字のことを袋文字と言います。背景色と文字色を同一にして、輪郭線だけ異なる色にすると、スマートな感じのデザイン文字になります。また輪郭線を二重・三重にすると、非常に力強い感じのデザイン文字にすることも可能です。
影を追加する
文字に影を追加することで、立体感のあるデザイン文字にすることができます。影を追加するときは、光源の向きや強さに注意しましょう。複数の文字に対して影を追加するときは、光源の向きと強さを揃えておかないと、見た人に対して違和感を与えてしまうでしょう。
また文字に影を追加する場合、影の色を調節するとプロっぽいデザイン文字になります。例えば背景色が緑の場合、影に設定する色として黒ではなく、濃くて暗い緑にすることで、リアリティのある影に仕上げることができます。
線と線の空間を広げる
文字を構成している線と線の空間を広げると、スッキリしたデザイン文字になります。テクニックとしては難易度が高めですが、線と線の間に空間がある文字で文字列を構成することで、統一感も生まれるでしょう。特に線の太さが同一のゴシック体の文字において、このデザイン文字は加工しやすいでしょう。
混植する
混色とは、ゴシック体の文字と明朝体の文字を組み合わせて文字列を作るテクニックのことです。ゴシック体は視認性が高く力強い感じがしますし、明朝体は繊細で高級感がある印象の書体です。
そのため目立たせたい文字をゴシック体にして、助詞などの補助的な部分には明朝体を使うことで、情報として伝えたいことを伝わりやすくする効果が得られます。
モチーフをつける
文字にモチーフをつけると、ちょっとしたアクセントのある面白い文字になります。文字が情報として伝えたい要素をしっかりと考えて、モチーフとして文字に追加することで、遊び心があるデザイン文字になるでしょう。デザイナーとしては、テクニック加えて創造力も求められる、レベルの高いデザイン文字といえます。
はねやはらいに飾りをつける
文字の線の先端である「はね」や「はらい」に飾りがつけられているデザイン文字もあります。先端に丸い円を追加したり、はらいの部分の丸みを強調したりすることで、柔らかいイメージの文字になります。
このようなデザイン文字は、もともと丸みをおびている丸ゴシック体のフォントにつかうと統一感が発揮できます。文字としての視認性も考えながら、うまく飾りをつけることも、デザイナーとしての腕の見せ所です。
文字を図形で囲む
文字を何らかの形をもつ図形で囲むデザイン文字もあります。例えば文字列を構成している文字の中でも、特に強調したい部分を、丸や四角などで囲んで、ほかの文字との区別化させるなどです。デザインのテクニックとしては、それほど難しくありませんが、やりすぎると野暮ったい感じのデザイン文字になってしまうため、注意が必要です。
文字の一部をつなげる・延ばす
文字の「はね」や「はらい」を延したり、つなげたりすると筆記体のような印象の文字になります。文字をパスの情報に変換して、ペンツールでつなげるだけですが、きれいに表現するためには、センスが必要なデザイン文字です。
ワンポイント入れる
文字の一部にワンポイント入れる装飾もデザイン文字ではよく使われています。例えば「点」の部分を星型(★)にしたりするテクニックは常套手段です。図形だけでなく、生き物のシルエットにしたり、建物の一部を表現したりするなど、デザイナーとしての想像力が発揮できるデザイン文字といえます。
単純なフォントだけの文字にワンポイント加えるだけで、グッと遊び心のあるデザイン文字に仕上がりますので、ぜひチャレンジしてみましょう。
デザイン文字を作るときの注意点

デザイン文字の種類について紹介してきました。デザイナーとしての想像力とテクニックを発揮できるデザイン文字ですが、やみくもに装飾することは賢明ではありません。文字には文字ならではの役割があり、過度に装飾されたデザイン文字では、その役割を果たせなくなるからです。そうならないためには、これから紹介するデザイン文字を作るときの注意点を守らなければなりません。
読みやすさを意識する
文字のデザインにこだわり過ぎて、読みやすさを損なってしまうことが良くあります。文字には文字本来の伝えるべき情報があるので、過度な装飾で読みやすさを失ってしまっては本末転倒です。
基本的にデザインを見る人は、積極的に文字を読もうとするわけではないことを理解しておきましょう。文字が読みにくければ、そのまま読まずに済ませることが大半です。デザイン文字を作るときには、最低限読める程度の可読性は残しておくべきです。
見やすさに気を配る
文字の読みやすさに加えて、見やすさにも気を配ることが大切です。文字色と背景色に違いをつけて見やすくしたり、極端に大きすぎる、あるいは小さすぎる文字にしたりしないことにも心掛けましょう。また1行や1列に含まれている文字数を多くしすぎないことや、文字とほかの要素の余白を詰めすぎないことも重要です。
フォントの表現力を活かす
デザイン文字を制作するとき、全くなにもない状態から文字を装飾するケースではなく、予めなんらかのフォントの文字を使って装飾を施すこともあるでしょう。そのようなケースでは、もともとのフォントの表現力を活かすことを心掛けると、魅力的なデザイン文字を効率的に制作できます。
あえて余白を残す
デザインの初心者にありがちなのが、余白がまったくないデザインです。例えば名刺のデザインでは、名前や役職、会社の住所など、狭いスペースに情報を過不足なく盛り込まなければなりません。
そのような状況でありがちなのが、スペースいっぱいに文字をレイアウトしてしまうデザインです。しかしそのような余白がないデザインは、情報が整理されておらず視認性も悪くなりがちです。
デザインにおいて、余白は意図して残すべき要素です。それはデザイン文字であっても同じことと言えます。これまで、さまざまなデザイン文字の種類を紹介してきましたが、なんでもかんでも装飾を施すのではなく、あえて余白を残すことも頭に入れておくと、ぐっとプロっぽいデザインになるでしょう。
まとめ
デザイン文字には様々な種類があり、デザイナーにとってデザイン文字の制作は非常にクリエイティブな仕事といえるでしょう。この記事で紹介したデザイン文字は、どれも基本的なものばかりですが、インターネット上では広告やバナーなどでプロのデザイナーが制作した多くのデザイン文字を見ることができます。デザイン文字の制作においては、この記事で紹介した基本的なパターンを参考にして取り組んでいただければうれしく思います。